消費税にインボイス制度導入

駐車場や事務所やお店を貸している方にも影響があります!

 税に携わっている人ならば2023年10月から導入される「消費税のインボイス」について知らない人はいないと思いますが、一般の方々はそうではないと思います。

 つい先日も相続を終えたばかりのお客様に相続税の説明をした後、来年以降の所得税の申告を説明し、その後消費税のインボイスを説明したところ、「チンプンカンプン」だという反応がありました。

 それもそうだと思います。その方がお持ちのビルは1階がテナントで、飲食店が2件入っており、2階はアパート、3階は居住用になっている建物で、総収入は1,000万円を超えません。また、隣に駐車場を貸しており、1台あたり月額1万円で貸しています。テナントに入っているお店にも家賃として8万円貰っていますが、貸し手としては駐車場も、テナントも消費税を徴収している意識はないのです。

 現在の税法では、このままで構わないのですが、「消費税のインボイス」が導入されると、駐車場を借りている事業者は、自身の消費税の申告において、「適格請求書(インボイス)」を貰えないと、段階的に消費税の支払(仕入税額控除と言います)を認めてもらえなくなります。簡単に言えば、駐車場は10,000円の中に消費税が909円内包していますし、テナントの家賃8万円にも7,272円の消費税が含まれています。事業者にとっては、制度実施後3年間は消費税相当額の8割、その後の3年間は5割を仕入税額控除が可能とされていますが、経過期間を過ぎれば、全額が控除されなくなります。

 ただし、借主の事業者さんが、「簡易課税」を選択されている場合には、消費税の申告をされる際に、売上の金額に対して、何割仕入に掛かったとみなすので、影響がないと思いますが、そうではない場合には、借主から「適格請求書を発行できるのか」と問い合わせを受けるかも知れません。数年後には、消費税の仕入控除が受けられないからと解約される事態も起こりえます。

 「適格請求書(インボイス)」を発行するためには、貸し手のオーナーさんは課税事業者を選択して、毎年消費税の申告をする必要があります。

 テナント2店舗だけで考えても、192万円に係る消費税約17万5千円です。オーナーさん自身が簡易課税を選択しても、6割は納税しなければならないので、毎年約10万5千円ずつ消費税の納税が増えていくということになります。

 まだ制度の導入まで1年以上あるということで、気運が高まっていませんが、適格請求書発行事業者登録は2023年3月末までとなっています。免税業者が申請を行う場合や、免税事業者等からの課税仕入れの計算については経過措置が設けられておりますし、先にご説明したように消費税を納めることになっても、申告の方式を売上から仕入経費の消費税を控除する「本則課税」にするのか、売上からのみ計算する「簡易課税」にするのかなども、今後の事業計画を考えた上で、税理士等の専門家にご相談ください。

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